■ 新商品を作ろう! 史上最大の駿河竹千筋細工 ■

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2004年10月21日から、静岡の伝統工芸後継者グループ、「するがクリエイティブ」の新作展示会が、静岡駅構内「駿府楽市」で開かれます。

ご意見番でもあるデザイナーの要求は、「5年後にメイン商品になる物」!
あと1ヶ月、どんな新作ができるでしょうか?


■  長さ210cm 1 ■

いよいよ、行き詰まってきた、9月16日。実は、翌日の17日に、するがクリエイティブの会合があり、その時にデザイナーが、アドバイスをしてくれるとのこと、でも全然浮かびません。

で、仕事場に行くと、父が、面白いものを持っていました。
なんと、長さ210cmの竹ひご!

普通、竹ひごは、穴を通して細くするので、通りにくい節の部分ははずして作ります。
だから、長くてもだいたい40cmです。

でも、このひごは、ちがいました。7尺、210cm。縦にすると、曙なみの高さです。

こうした、長いひごは、機械で削ります。作り方はよく分かりませんが、竹を機械に入れると、こうしたひごが、どっと削られてくるようです。

製法は、まあどうでもいいですね。とにかく、210cmのひごです!

今までにないものが作れる!! これは、楽しみですよ〜。


■ 長さ210cm 2 ■

さて、210センチのひごです。

父によると普通は、この長いひごを、通常の長さに切って使うそうです。とくに、虫籠など、曲げないですむひごに使います。

ひご抜きで抜いたひごに比べて、削ったひごは、繊維がとぎれていることが多く、曲げると折れやすいからなんですね。

さて、210センチのひごをまとめて、大きく曲げてみました。
今までにない、美しさ!
それは、水引の美しさに似ています。

このひごをうまく使えないだろうか?

今まで作った中で、一番大きかったのは、高さ90センチの行灯です。これは、90センチのひごを使ったからでした。太さ3.5ミリ。高級すだれ用のひご。

その考えで行くと、高さ210センチ。元横綱、曙より大きな、行灯、フロアスタンドができます。
これは、すご〜い!!

うちには、全体似合わない。へたすると天井にぶつかる〜!
でも、ホテルとか、大きな場所には?

わくわくしてきましたよ! (^_-)-☆

 展示会のお知らせ


■ 長さ210cm 3 ■

お天気がよいので、竹を割ろうと思いましたが、「明日からは、また悪い」と、ラジオが言っているので、割るのは後回し。
竹ひごを、ケアすることにしました。

というのは、この210cmのひご。見るからに、みるいんです。(静岡弁で、未熟というような意味です)
ちょっと、湿気が多いと、すぐかびそうです。

カビを防ぐのには、クリアラッカーを塗ります。

通常、私達がつくる花器などは、高さ40cm前後なので、出来上がったところで、一斗缶(シンナーなんかが入っていた四角い缶です)を縦割りにしたものに、薄めたラッカーを入れて、じゃぶんとつけます。

竹ひごの隙間まで、しみわたり、カビを防げます。

ところが、今回作る予定のものは、大きな冷蔵庫なみの大きさを持っていますから、もう大変。ドラム缶でも、きっと無理ですよね。
そこで、竹ひごの状態で、つけることにしました。

でも、それがまた大変! 一斗缶というように、塗料がいっぱい入りますが、そんなにたくさんの塗料がないので、半分くらい。
いくら、竹ひごがしなやかでも、ぐいっとまげながらでは、上手に入らないんです。
今度は、浅いお菓子の入っていた缶を持ってきて、そのなかになみなみと薄めたラッカーを入れます。

これは、大成功! ひごは束にして、じゃぶんとつけます。 先っぽは揃うように、ゴムでとめたまま。
2時間ほどかかって、予定の2000本を入れ終わりました。

天日で乾かすと、少し黄色がかかって、いい色になってきました。
これで、明日から天気が崩れても大丈夫です。

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■ 門外不出? ■

長いひごを手に入れて、ジャイアント馬場よりも、横綱曙よりも高い作品を作ろう! と心に決めたのはいいのですが、それだけ高い作品は、特に軽い竹細工では風が吹いただけでひっくり返ってしまいます。

そこで、単純に考えたことは、太らせればいいじゃないか、と言うことでした。
高さ200cmなら、直径は、100cmで大丈夫。

設計図も書いたのですが、家のドアを見てびっくり!
計ってみると、65cmしかないんです。

これでは、作るまではいいのですが、門外不出になってしまいます。

ではと、ぎりぎりの63cmに、してみました。
直径63cmの輪を曲げるには、竹の長さは、3.14をかけて、約2m。持つところを入れると、2.5mは、必要です。今までで一番長い竹を割ってみました。でも、割れば、割れるものですね。竹を割ったように、気持ちよく、竹を、割りました。


■ 崩 壊 ■

上下の輪が、63cm、中輪が40cmです。片方250本で、綾になっていますので、合計、500本のひごです。これだけ、たくさんのひごがあれば、強度的にも大丈夫。ケネックス(ブロック)で、1mの支柱を作り、中輪を支えながら、ひごを差します。綾にするので、約70度の角度がついています。

立ち上がったり、ひざまずいたり、これが、ヒンズースクワットみたいで、大変です。

でも、2時間かかって、下と中輪をつなぐ部分は、差し終わりました。今度は、ひっくり返して、上の輪を差します。持ち上げて、支柱を抜き、置いたとたん、

グニャリ〜、なんと、250本のひごは、70度の角度のためか、あっけなく、崩れ去りました。


■ スリムできれい! ■

史上最大の「駿河竹千筋細工」祝彩もちろん、まだ綾ではないので、角度に沿って崩れたのですが、綾にしてみても、きっとフニャフニャでしょう。これでは、情けない。

考え方を変えました。直径が大きいから、角度が大きくなり、崩れます。では、直径を小さくしたらどうでしょう。

今まで、半分作ったこの竹細工は、かなり大きい。一人では抱えられない。一人で抱えるには、そう女性のウエストぐらいがちょうどいい!

円周だいたい60cmとすると、直径19cm!え〜、女性のウエスト、直径19cm? うちのかみさんなんか、どうみても直径35cm位はありそうです。でも、きっとひらべったくするとそんなものでしょうか?

19cmは、半端ですから、20cmにしましょう。筒型では、ひごの美しさ半減ですから、やっぱり鼓型。上下は、倍の40cmにしましょう。

でも絶対倒れますから、下の輪には、おもりの代わりに、木の板を取り付けます。

中輪は半分になりましたが、ひごの本数は、3分の2の320本。かなり細かいです。

スリムで、とてもきれい!

一人で持ち運びできて、結構丈夫な、竹細工ができました!ぜひ、展示会で見て下さいね。


■ 史上最高? ■

展示会の搬入では、やっぱり同業の竹細工職人がいちばん興味を持ってくれます。

「私も前に、このぐらいの大きさのスタンド作ったよ」

これには、ドキッ! 早くも史上最高が怪しくなってきました。

でも、良く聞くと、その時は、千筋(たけひご)ではなく、編んだとのこと。それでは、「駿河竹千筋細工」ではありません。竹ひごにこだわった今回の作り方で、2メートルは、やっぱり史上最高ですね。(^^)



おかげさまで、この祝彩の弟分、それでも150cmあります、祝彩1500が、静岡県知事賞をいただきました!

◎販売は、こちらです。ぜひご検討下さいね!

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