和灯30

実は、この破るということと黄色い紙は、「するがクリエイティブ」 のデザイナー清水先生のアイディアです。
それまでの私は、人のアイディアを聞かなかったのですが、 発想は広い方が、おもしろいことに気がつきました。
この黄色い紙については、最後まで葛藤が続きましたが、展示会などでは 意外というか好評でした。

しかし、より素朴さを求めた私は、結局この黄色い紙をはずしました。
上部の破っていた紙もそのまま上まで貼りました。
そのかわり、籐を巻き付けました。
千筋も、今までより3倍も太くしました。
繊細さな美しさより、素朴な力強さを求めたのです。
これも、前述の「あさぎ」同様、展示会での人気は高く、すぐ売り切れました。
評論家やデザイナーの方々の評判は、さほどではありませんでしたが、 以前、受賞ばかりねらっていた頃より、楽しさがあります。
独りよがりの美しい物を作って、自己満足するより、一般のお客様がお金を払って、喜んで買ってくれる作品。
きっと、それぞれのお部屋でかわいがってくれるんだな、と思うと本当に楽しくなります。