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人間国宝芹沢けい介氏をはじめ型染め主流の静岡の染め物ですが、ろうけつ染めをしている方が一軒あります。
ろうけつ染めは、ろうをもちいた防染による染色法です。溶かしたろうで模様の部分をふせ、染料にひたして染めたあと、ろうをとりのぞくと、模様が白く染めぬかれます。模様の部分にろうの割れ目による細い亀裂が生まれるのが特徴です。ろうけつ染めは、古くは臈纈(ろうけち)とよばれ、纐纈(こうけち:絞染)、夾纈(きょうけち:板締め絞り)とならんで、天平時代の三纈(さんけち)のひとつとされ、正倉院宝物にみられます。当時は模様を彫った凸状の型をつかってろうを布につけていたため、模様は比較的小さく、ある程度規則的にならんでいました。しかし型に一度ろうをつけてから、2つ、3つ、と模様をおすため、模様ごとにろうの濃さに変化が生じ、それが面白みとなっているのが特徴です。またこうした反復模様を巧みにもちいて大型の絵模様を構成したのが、正倉院にある「臈纈屏風」てす。
天平時代の臈纈の技術の起源は中国よりつたえられましたが、この屏風は国内産の布地でつくられているところから、すでにこの技術が当時日本に定着していたことがわかります。(参考資料、Microsoft(R) Encarta(R) 97)
蝋纈染は、上記のように正倉院宝物にも見られる古代の染色法です。
糸染めの始まった平安時代から衰退していたこの技法を、 昭和の中頃、静岡市無形文化財、三代目紺友鈴木福富さんが 研究をかさね、美術作品として完成させました。作品には、卓布やコースター、のれんなどがあります。
駿河和染の主流である型染とはちがい、一枚一枚、手書きの作品は、それぞれ 微妙な色合いが大変素敵です。
草木染蝋纈特有の美を、お楽しみください。
素材、綿100%。染料、渋木(山桃の樹皮)を主体とした植物染料。
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●草木染蝋纈の技法
蝋纈染は、防染に糊を使う一般の和染めとちがい、 蝋を溶かしその溶解温度によって色の濃淡をあらわします。
(写真左)まず、蝋を溶かします。
(写真中)そして蝋の温度が変わらないうちに、一気呵成、 気宇壮大に描き上げます。 筆をおろすときは、何回やっても緊張するそうです。
(写真右)蝋が、乾いたら、植物染料で染めます。
何回か繰り返し、作品を作ります。 植物染料は、微妙に色が変わるそうで、いつもできあがりが楽しみということです。
鈴木緑さん(1/16) |
紺友染色工房さん のホームページ
染色家の鈴木緑さんが草木染蝋纈を紹介しています。
鈴木緑さんが、2001年11月静岡県工芸美術展 県知事賞を受賞しました。(左作品)
おめでとうございます!
蝋で防染していないところの色が、深くてきれいですね。