伝統工芸に若い感性

静岡市の杉山貴英さん 竹千筋細工を修行 

夢は、欧州で作品展

静岡市のクラフトマンサポート事業の支援を受け、同市内の竹細工師のもとに弟子入りしていた杉山貴英さん(30)=同市駒形通五丁目=が今春、2年間の現場実習を無事終える。ドイツなどヨーロッパに静岡の伝統工芸「駿河竹千筋細工」を紹介することが夢という杉山さん。修業生活も残りわずかとなり、卒業作品づくりに若い感性をぶつけている。


杉山さんは平成13年4月、特注家具の営業の仕事から竹細工師浦田恒夫さん(70)の門をたたいた。「竹細エ職人の家に育ったが、兄もいるので別の仕事を選んだ。竹細工に情熱を傾けた祖父を亡くし、初めて竹細工の魅力と進むべき道に気付いた」と杉山さん。
弟子入り後は連日、竹を割ることから始め、次第に照明器具や花器、お盆など約300種に及ぶ商品づくりを手伝いながら親身な指導を受けた。
春からは実家の仕事に従事しながら海外での作品展開催の準備を進めるという。

師匠の浦田さんは「最初は現代的な考え方に戸惑うこともあったが、若い人の感性を商品づくりに生かす機会にもなった」と振り返り、「成長は頼もしい限り。基本は教えたので、後は自分で工夫してほしい」とエールを送る。

サポート事業は、地場産業の後継者育成を目的に教育、実習、独立を支援する制度で、市が全国に先駆けてスタートさせた。対象業種は木製家具、サンダル、ひな人形、駿河漆器、まき絵、和染めなど伝統工芸18業種。2年間で杉山さんを含め17人が実習制度を利用した。

黒田英一理事長市地域産業課の横山義昌課長は「女性を含め立派な職人が育ちつつある。今後は発表の機会や実習生の交流事業も進めたい」と話す。
静岡竹工芸協同組合の黒田英一理事長(72)は、「40歳以下の後継者はいなかったが、ここ数年、高い志を持った人が育ってきた。昔の徒弟制度とは違う方法で人材を育成していきたいと」力を込める。

静岡新聞 2003年1月24日朝刊 より引用しました。


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