伝統的工芸品の秘密  


経済産業大臣指定 伝統的工芸品につきまして

平成20年8月現在、経済産業大臣が指定する伝統的工芸品といわれるものは、全国で現在210 あります。

これは、昭和49年、国が伝統的工芸品に関する 「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」(伝産法)という法律を作りました。
工房のほとんどが小規模な会社や工場で、さまざまな問題をかかえて いるので、この法律で保護し、育てようというわけです。
この法律で「経産大臣に指定」されるには、いくつかの条件があります。


1.工芸品であること。
工芸品とは、熟練した技を必要とし、芸術的要素を備えたものです。

2.主として日常生活の用に供されるものであること。
日用品と言うことでなく、静岡の伝統的工芸品「駿河雛人形」のように、いつも使われていなくても 広い範囲で認められます。

3.製造過程の主要部分が手工業的であること
私は、テレビが好きですが、機械で作っている工程を紹介して、何を作っているのか当てるクイズ番組がよくありますよね。

何から何まで、オートメーションで作っていて、びっくりします。
私達の竹細工も、あんな風に作れば、安くたくさん作れるのかな、と思ったりもします。

さて、この条件は、機械を絶対、使ってはいけないということでは、ありません。
伝統的に作ってはいますが、日常品制作なので、作り続けているうちに工夫として、工作機械も開発されてきました。
「駿河竹千筋細工」では、穴開けにボール盤、竹材料の幅厚みを決める機械などを使っています。

ボール盤を使うと言っても、竹の輪をセットすると、自動的にたくさんの穴を開けてくれるわけではなく、一穴一穴輪を少しながらずらしていって、開けていきます。

機械の入り口から、竹を生のまま入れると、たくさんの工程を自動でやってくれて、反対側から、花器がポンとでてくるなんて事は、きっと、これからもないでしょうね。

4.伝統的技術または技法によって製造されるものであること。
伝統的とは、100年以上の歴史を有すること。その受け継がれてきた技術、 技法や製品の特質が変わらないことです。

私の家には、約100年前の「駿河竹千筋細工」が、あります。
ひごの細さが、今よりも細かったり、曲げ方が、ややいびつな他は、ほとんど、今私達が作っている菓子器とそっくりなんですよ。

もちろん、この100年で、技術は発達しましたが、基本的な作り方は変わっていないということですね。
こうしたことが、指定の条件なんですよね。

明治時代の「駿河竹千筋細工」

5.伝統的に使用されてきた原材料であること。
「駿河竹千筋細工」は、もちろん竹を使っています。
でも、ここで一つ厄介な問題があるんです。竹のままなら良いんですが、これを塗るとなるとまずくなります。

「駿河竹千筋細工」の指定の条件に、漆または、木蝋仕上げとなっています。
木蝋ってご存じですか?国語大辞典(新装版)小学館 1988によると、

もくろう 【木蝋】
黄櫨(はぜのき)の果実から採取される脂肪。化学的には脂肪であって蝋ではない。摂氏五二〜五三度で溶ける。採取したままのものを生蝋、漂白あるいは脱色したものをさらし蝋という。蝋燭、つや出しなどに用いられる。日本蝋。

となっています。でも、最近では、ほとんど使われません。
というわけで、クリアラッカー仕上げは、100年前には、もちろんありませんでしたが、防かび、防汚処理と言うことで、許可していただいています。
でも、漆塗り以外の着色については、伝統的工芸品シールを貼ることができません。技術的には、何も支障がないので、現在「伝統的工芸品産業振興協会」さんにもお願いしています。

6.一定の地域において、少なくない者がその製造を行い、またはその製造に従事しているものであること。
具体的に、10企業以上、または30人以上の従事者がいることです。
この項目に引っかかるところが多いです。静岡にも「賤機焼き」という徳川家康ゆかりの焼き物がありますが、1軒だけなので指定が受けられません。県の指定は、人数については関係ないので受けています。

★200以上の伝統的工芸品につきましては、 こちらをご覧ください。


さて、ここでクエスチョンです。

経産大臣指定伝統的工芸品は、現在194品目が指定されていますが、指定されていない物も含めるとどのくらいあるでしょうか?

A 500ぐらい
B 1000ぐらい
C 2000ぐらい


正解は、B 1000ぐらい です。

平成6年の調べですが、1123 の工芸品がありました。
数が多いのは、織物、人形、玩具など、生活になじんでいる物が多く、各地で作られています。
また、「駿河竹千筋細工」や「西陣織」「博多人形」など産地の名前が付いている物が多いので、一目でどこで作られているのかがわかりますね。
あなたの町にも伝統工芸品はありますか?


私の住んでいる静岡にもたくさんの伝統工芸品があります。 また、あなたの身近にもあると思います。
どこが違うかというと、6番の10企業または30人以上というところでなれないものも多いんです。

静岡県では、県知事が郷土工芸品に指定して保護しています。
伝統的工芸品について詳しくは、 伝統的工芸品産業振興協会のページをご覧ください。


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ひとことどうぞさわやか伝統工芸 せんすじ

工芸品大好きさん
伝統工芸品は現代のニーズに答えていっているのでしょうか?
特に例があれば作品、商品を教えてください

工芸品大好きさん、ありがとうございます。
伝統工芸といってももちろん、昔のままに作っているわけでなくて、毎年新作を作っていますし、現代のニーズに応えるように努力しています。
「風鈴」もお気軽に使える工芸品ですし、虫かごなんかニーズとずれているようで、結構人気があります。もちろん、ほんとに虫を飼う方ばかりではありませんが。
伝統工芸って、いつもその時代と一緒にいると信じています。