このシリーズは、メールニュースで無料で毎週お知らせしています。
お申し込みは、こちらからどうぞ。
弟子入りは難しいです。
伝統工芸の工房は、だいたい、住居の一部になっていることが多いです。
たとえば、おじいさんがやっていて、その家族が継いでいないとします。
仕事を始めても、もしそのおじいさんが、できなくなったら、家の一部を、他人に使わせ続けるのは、無理ですよね。
もし、その仕事をするとすると、将来、自分で工房を持つから、という条件付きなら、OKかもしれません。
また、職人はどこも金銭的に苦しいので、お給料を払って仕事を教えてくれるところは少ないですし、普通に仕事をしているところに、いきなり教えて欲しいと言っても、心の準備が必要です。
弟子入りしたいと言われたら、どうしようか迷っているのが、現状だと思います。
それでも職人になりたい方は、なりたいですね!
そこで、弟子入りの必勝法ではなく、心構えを考えていきましょう。
一つに決めましょう
職人になりたいけど何をしたいかわからない・・・という方がよくいます。
どれにしようか迷っているんなら、今のままの方が良いと思います。この道でないといや!という、覚悟がないと続かないですよ。焦らずにゆっくり考えて下さいね。
こちらのサイトで、お近くの伝統的工芸品をさがしてみましょう。
全国伝統的工芸品センター
業種別一覧
弟子入り先をさがしましょう。
体験教室から
弟子入りの前にお近くの工芸教室に通って、ある程度できるまで練習することをおすすめします。楽しいと思いますよ。そして、本当に仕事にできるのか考えてみて下さい。
弟子入り先を探すには、体験教室の講師の方に聞いてみたらいかがでしょう。
もしかしたら、弟子入りさせてくれるかもしれません。
また、その講師の方の所では、弟子入りは難しくても、相談に乗ってくれるでしょう。誰か紹介してくれるかもしれません。工芸の世界は狭いので、人脈はとても大切ですよ。
組合から
また、「経済産業大臣指定伝統的工芸品(業種別)」ホームページを参照して下さい。
伝統的工芸品に指定されている産地には、必ず組合があるのでそちらに聞いてみましょう。
電話をして弟子入り可能な職人さんを紹介してもらって下さい。
その時にこれまでの作品がありましたら持参するとお話が進みやすいでしょう。
なお、あまりその工芸品に詳しくないようでしたら、展示会など、イベントをさがして、見るのが良いですね。
直接工房へ
目的の工芸、地域、工房などのキーワードでホームページを検索すれば、何件かヒットします。画像があるところも多いので、そうしたところに直接頼んで、まず見学させていただいたらいかがでしょう。
また、美術展、工芸展などの公募展、また個展などにも出かけていって、気に入った作品があればお話をしたり、購入してみましょう。
受け入れてくれたり、紹介してくれる親切な方もいるでしょうし、また、景気などの現状も分かるでしょう。
本人が動けば、まわりも動き出します。いい結果にするために積極的に動いて下さいね。
なお、仕事を見せるのがイヤな方もありますし、またあまり長居するとご迷惑をおかけしますので、相手の事情も考えて行ってくださいね。
連絡してみましょう
前回は、弟子入り先をさがそう! でした。
今回は、工房への連絡について、考えてみましょう。
さて、組合や工房に連絡しても断られることが多いでしょう。大企業でさえ、人を減らしている今ですから、なかなか良い答えがもらえないと思います。
また、お電話は聞き易いのですが、相手も断りやすいですね。現地に行ってみてください。
年の多い方はもちろん、若手でホームページを持っている人でも、メールは信用しないという方が多いですね。
熱心に直接来られると何か力になりたい気になります。
また、お電話よりも実際に伺った方が、お話が進みやすい場合が多いです。
ただ、いきなりだとびっくりしますので、必ず連絡してから行きましょう。
電話の時間というのは、難しいですね。確かに、仕事中、電話がかかってくると、迷惑に感じることがあります。
となりますと、やはり夜でしょうか。
食事中にかからない、8時頃、「今大丈夫ですか?」と、お相手の都合も考えながら、お話ししてみたらいかがでしょう。
行くときには、これから何をしたいか、どうなりたいか、だけでなく、その工房にとって何ができるか、どんな役に立てるかなどをよくまとめて、前向きに話して下さいね。
また、ずっと、その工房にお世話になるのではなく、数年後に独立することを前提に弟子入りすれば、受け入れ安くなると思います。
工房見学の服装は、スーツですと、お相手も緊張するでしょう。
「ちょっとやってみる?」ということになるかもしれませんから、作業しやすそうな服装が良いと思います。
ただし、職人さんは、教えるというのは、仕事ではないので、親方としては、その方の持つ熱い思いよりも、素直に仕事を覚えてくれる方の方が、教えやすくていいのかもしれません。
矛盾するかもしれませんが、熱い思いは内に秘めて、謙虚に、短期間で仕事を覚えることが、大切かと思います。
1度や2度断られてもくじけずに、がんばって下さいね。\(^O^)/
勇気を出して、飛び込んでみましょう。
「具体的に動けば、具体的な答えがでる」というのが私の好きな言葉です。飛び込んでいけば、具体的な答えがでてくるのではないでしょうか?
求人をしていないところへ行けば、びっくりするでしょう。
また、その会社の経営方針や、状況、などでも無理な場合があると思います。
信用をえるために、履歴書は、もちろん持っていきしょう。
体験講座などがあれば、先生と親しくなり、信用もされますが、いきなりでは厳しいかもしれませんね。
断られても、相手がいい方ですと、職人の厳しさや現状など色々話をしてくれるかもしれません。必要な資格や学歴、経験などがあればいいのか、聞iいてみましょう。
なるべく、相手の物差しに合わせていければ、いい結果がでるのではないかと思いますよ。
産地見学
すばらしい伝統工芸が身近にあれば、大切にした方がいいですね。
現地に行ってみると、もし採用されなくても、他の職人さんを紹介してもらったり、工芸の現状を見られて良いですよ。
いろいろな工房をまわることで、仕事の内容や量などの現状、また体験工房などの経験の積み方も教えてもらえるかもしれません。
全国伝統的工芸品センター 業種別一覧
弟子入りの条件
工房を訪問して、弟子入りをさせてくれたとして、弟子入りの条件について考えてみましょう。
はじめから、良いお給料をくれるところとか、お小使い程度、また無給の所などいろいろあるでしょう。
また、何年経ってもお小使い程度と言うこともあると思います。特に、現在は不景気で大企業でもどんどんリストラしているのに、小さな工房で、普通にお給料をもらえるのは、奇跡かもしれません。
中には、別にアルバイトをさせてくれるかもしれませんが、あまりやりすぎると仕事に対しての集中が切れ、またバイトの方が、楽にお金をもらえるとそちらを本業にしてしまうかもしれません。できれば数年間は、専門学校へ通っていると思っていた方が無難かと思います。
住み込みは、今ではあまりできないでしょう
ご家族の方と同居して、生活費の心配のない状況で、お小使い程度をもらうつもりで始めた方がいいですね。
また、修行中だけでなく、一人前の職人になってもし独立しても、稼ぎは期待しない方がいいでしょう。弟子入りしてすぐは、通常のお給料などは、難しいと思います。
S さん(21歳、学生)
家具職人になりたいのですが、今の私には技術がありません。家具職人のもとで働かせてもらえるようなところはないでしょうか?
家具職人といいましても、家具メーカーに就職する道や、自分で工房をもつ道などがありますよね。また、家具のメーカーといっても、オーダーメイドができるところや、大量生産専門の所もあるでしょう。
家具メーカーでしたら、仕事は安定しているでしょうが、好きな物を作れるかどうか分かりません。
自分で工房を持つと、好きな物は作れますが、仕事が来るまでが大変ですね。
でも、お客さんの顔を見て作ることができ、お客様も職人にいろいろお願いして作るというお互いに楽しい仕事ができます。ですから、Sさんの、目指す職人像をしっかり決めて行かれたらいかがでしょうか?
大きな家具屋さんやデパートなどをまわって、いろいろな情報を探してみたらいかがでしょうか?家具に対する目も肥えますし、値段なども分かってくるでしょう。楽しいことと思いますので、ぜひ歩き回って下さいね!
Sさんの作りたいような家具屋さんを見つけたら、勇気を出して、働かせて欲しいと頼んでみたらいかがでしょう?
専門学校などを出て欲しいと言われるかもしれませんし、また不景気なので余裕がないと言われるかもしれません。
逆にどこかを紹介してもらえる可能性もあります。技術を持っていた方が就職しやすいのか、また技術がなくてもいいのかは、メーカーによって違うと思います。
今、職人に弟子入りしている方たちは、勇気を出して頼んでみた結果です。Sさんも勇気を出してがんばって下さいね! |
仕事時間
先日の竹細工教室で、こんな質問を受けました。
「職人さんの仕事時間は?」
職人の生活というのは、外の世界から見ると、他と違って見えるのでしょう。
通常、朝は9時頃からですが、夜は決まっていません。
明るいうちは、竹割りとか穴明けとか、音やほこりの出ること。夜寝るまでは、網代を編んだり、ひごを差したりしています。
職人と言うよりも自営業だからでしょうね。もちろん、その間にこうしてホームページを更新したり、運動もしています。
弟子入りというと、朝暗いうちに起きて工房中を掃除して、夜も遅くまで仕事して、また休みは盆と正月しかない、一休さんみたいな生活を考えてしまいますが、普通は、一般のサラリーマンの方と同じ様な条件が多いでしょう。
平日はしっかり通い、自宅でも何か新作を考えてくるような、やる気のある人を求めていますよ。
やる気
もしあなたに、やる気だけで何の知識、技術もないとしても、やる気がなくて、知識、技術があるよりも良いと思います。
ただ、本当にやる気があるのでしたら、「知識、技術がないよ〜」と開き直るよりも、どんどん機会を作って、吸収して下さい。
資格は、特にありませんが、社会人の最低条件として、普通免許ぐらいは持っていた方がいいでしょう。
これから、伝統工芸の職人を目指すのでしたら、その工芸をとにかく好きになることです。お金なんかいらないくらい大好きな工芸を、いろいろな教室や機会などで早く見つけてくださいね!
とにかく最初は、断られることばかりの弟子入りだと思います。それでもめげずにがんばって下さい。
将来は、独立して工房を持つことをおすすめします。弟子入りは、そのための勉強と思い、お給料は期待せずしっかり修行できたらいいですね。
具体的に動けば、具体的な答えがでます。あなたの期待する答えがでるかどうかわかりませんが、積極的に行動して下さい!
「かっこいい職人になろう」は、お役に立てましたか?(アンケートのお願い)
○職人についてのお問合わせお待ちしています(^^)
このシリーズは、メールニュースで無料で毎週お知らせしています。
お申し込みは、こちらからどうぞ。