三度の飯より好き?
かっこいい職人になろう!と言うタイトルを付けておいて、なんですが、「職人になろう」と思って、「さて、何になろう」というのはあんまりうまくいかないようです。
もちろん、「この道一筋、○十年」とか、「いい仕事してますね〜」とか、「べらぼうめ〜」っていう職人気質とか、「一個何百万の壺」とか、「朝つらいから、サラリーマンはいやだ!」とかにあこがれて職人になってもいいのですが、実際、地味ですし、最初はお金になりません。ずっとお金にならない人もいます。
それより、「物作りが大好きで、大好きで、見るのも作るのも、三度の飯より好き!」って言う方が続くようです。
もし、何を始めたらいいかわからなかったら、静岡には匠宿という工芸体験施設がありますが、お近くにカルチャースクールなど気軽にいろいろ工芸を体験してみて、本当に作りたいものを決めるのが良いですね。まず趣味でいいので、作り始めることが大事です。
日曜大工や工芸などの体験教室など実際に物作りを始めてみてから、続けられるかどうかを考えてください。
年齢・・・若い方が良い?
私は、家が竹細工をやっていたにも関わらず、始めたのは30歳からです。
もちろん、若いときからやっていた方が飲み込みも早いでしょう。
また、弟子入りについては、将来性のある若い方の方が、優先されます。
最初は収入が少ないので、親のすねをかじれる(笑)若い方の方が始めやすいですね。
逆に、その気になればいろいろ職業を選ぶことが出来ますから、気持ちをぶれさせないで、打ち込んでくださいね。
反対に、定年後に始めて、作家になった方もいますので、若くはない方でも、本人のやる気次第です。
弟子入りは難しいですから、体験教室や職業訓練校などで、独立、開業のために勉強された方がいいでしょう。
それまでの人生経験で、先生とのつながりや、独立後の営業も出来たりします。
ただ、ご家族を養っていかなければならない方は、難しいですから、しっかり貯金をするとか、仕事を覚えてからの、計画もしっかり立てましょう。
職人の性別・・・女性大歓迎!
今までは、男性の方が多かったのですが、女性でも始められます。
「駿河竹千筋細工」では、竹を割ったり、曲げたりという力仕事もありますが、ご夫婦でやられている職人さんの家では、女性でもこれらの仕事をやっていますので、お箸しか持ったことのない方以外は、特に大変ではありません。
10年ほど前に別府の竹細工訓練校へ行きましたが、そこでは女性でも2m位ある長い竹をばしばし割っていました。
花器や茶道具が多い「駿河竹千筋細工」のお客様は、圧倒的に女性の方が多いので、これからは、女性の感性が大切になりますね。
ご家族の協力
ある若いお弟子さんは、お休みの日にアルバイトをしているそうです。また、ご家族を養って行かなくてはならない方は大変ですよね。
修行中というのは、平日は親方の仕事の手伝いをているので、お休みの日こそ自分の作品作りをして欲しいのですが、そうも言っていられません。
職人さんは、なったところで生活は苦しいので、ある程度余裕がないと難しいかもしれません。
最近の若い職人の所は、奥さんが外で働いて家計を支えているところが少なくありません。うちでもかみさんは、外で働いていますよ。
また、独立して工房を開くときには、当然ご家族の了解が必要です。
竹細工はきれいなようですが、竹を割ったり穴を開けたりするので埃っぽくなりますし、漆器の仕事では塗料のにおいなども気になりますね。家族の方に、細かい仕事など手伝ってもらえれば能率も上がります。
器用・不器用
前にも書きましたが、職人すべてが器用なわけではないようです。
職人はもちろん器用な方がいいのですが、仕事ですので他の業種と同様、またそれ以上に毎日同じ仕事の繰り返しになります。特に、根気が必要です。
器用な方はすぐ仕事を覚えてしまい、「職人はあまり儲からない」と、良さに気づく前に嫌気がさしてしまうこともあります。また、作家の道に進む人もいるようです。
不器用な人もあきらめずに努力したり、工夫すればいい職人になれます。でも「俺は、どうせ不器用だから」と雑な仕事をすると、もちろん嫌われますよ。
最近の若い方は、ほとんどが刃物も持ったことのない人が多いので、まずは、鉛筆を削って練習しましょう。
独立心
修行できるかどうかは、独立して工房を開く事を前提に修行するのか、職人として就職したいのかでも違うと思います。
どこも不景気ですから、就職は、現在難しいかもしれません。
以前、工芸を始めたい方の相談を受けまして、職人を紹介したところ、
「静岡市から補助金がでる2年間は面倒を見るが、その後は、仕事が薄いため自分で努力して欲しい」と言われました。
独立するのでしたら、2,3年修行させてもらい仕事を覚えたあと、工房を開きます。
独立後は、営業もしないといけないですね。金銭的の面の他に、自宅など工房を開ける場所、ご家族の協力が必要です。
また、仕事が来たら、最初は作業効率が悪いので、収入的に苦しいかもしれませんが、がんばってやっていれば、腕が上がってきて能率も上がります。来た仕事は、断らずにチャレンジしていきましょうね。
そして、一番の楽しみは、自分のオリジナル商品が作りやすいことです。工房の職人では、なかなかできないことですが、自分の工房ではできます。ぜひ、独立を前提に仕事を覚えて下さいね。
素直さ
修行を始めるとほとんどが初めてのことが多いと思います。頼まれた仕事は、気持ちよく「はい!」と言ってしましょうね。
初めは、掃除やゴミ捨てなどつまらないと思う仕事が多いかもしれませんが、気持ちよく動いているうちに信頼されていきますよ。
逆に「え〜、なんで? こんな事やるために弟子入りしたんじゃない」などといちいち反抗すると、教える方もやる気をなくしてしまいます。どんな仕事も必要です。笑顔でこなすことが修行にもなりますね。
また、教わっても、「親方は、古い。自分のやり方の方が絶対優れている」と感じることもあると思います。でも、親方は何十年もやっている場合が多いので、とりあえず素直に聞きましょう。何か意味があるはずです。
でもいつまでも、親方の言うとおりでなく、徐々に自分なりの工夫をして、親方に挑戦して下さい。
お金が好きな人
お金が好きな人とそうでない人はどちらが良い職人かというと、好きな職人ではないでしょうか?
好きな職人は、早く一人前になり責任のある仕事をしようとします。
逆にそうでもない人は、まだまだ半人前だからと言い訳して、責任逃れをするようです。こういう人は、上達も遅いようですね。
せっかく職人になるのでしたら、バリバリ仕事をして稼ぎたいですよね!
弟子の時代、最初のうちはお小使い程度の、安い給料の場合があります。これは、募集していない工房に、「どうしても弟子にして欲しい。素人だから給料は入らない」と無理矢理弟子入りした場合に多いですね。
確かに最初は、収入が少なくても仕方ないとは思いますが、数年経ち、その工房の役に立っていると感じているのに、余りもらえないこともあります。
親方の経済状態もありますが、少なすぎる場合は、交渉した方がいいですよね。
独立できる場合は、独立させてもらい、一ついくらなどで仕事を受けるとやりがいもあります。
バリバリ仕事をして、稼いで、腕も知名度も上げましょう!
学歴
職人に学歴は、必要でしょうか?
昔の職人の中には、中学しかでていないという方はたくさんいました。また、逆に大学を出ている職人も少なくありません。
以前は、作ることだけをしていればよかったのですが、現在は、みんなに気に入ってもらえる作品を考えたり、実際に販売したりしています。新しい技術を取り入れることも大事ですね。
ですから、高校や専門学校へは、行った方が良いと思いますよ。
また、職人の世界は狭く、高齢の方が多いので、同じくらいの年の友達がとても少ないのです。ですから、高校や大学などへ行って、友達を作ることも大事かなと思います。
私は、工業高校の機械科でした。道具の使い方や製図など役に立っています。
また、インテリア科も、いいかもしれませんね。商業も面白そうです。普通科から、芸大、美大、デザイン専門学校などを目指すのもいいでしょう。
本を読んで勉強する習慣は、職人になってもとても大事ですよ。前向きに考えて下さいね!
やる気が一番!
もしあなたに、やる気だけで何の知識、技術もないとしても、やる気がなくて、知識、技術があるよりも良いですね。
ただ、本当にやる気があるのでしたら、「知識、技術がないよ〜」と開き直るよりも、どんどん機会を作って、吸収して下さい。
資格は、特にありませんが、社会人の最低条件として、普通免許ぐらいは持っていた方がいいでしょう。
これから、伝統工芸の職人を目指すのでしたら、その工芸をとにかく好きになることです。お金なんかいらないくらい大好きな工芸を、いろいろな教室や機会などで早く見つけてくださいね!
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