「駿河竹千筋細工」大村恵美さん単純作業の中に難しさ 花器、あんどん、虫かご・・・。
竹が編み出すしなやかな曲線が、素朴ながら優美な味わいを醸し出す。静岡市に江戸中期から伝わる伝統工芸品「駿河竹千筋細工」。
掛川市出身の大村恵美さん(23)は、竹の魅力に取りつかれ、高校卒業と同時に弟子入り。数少ない女性職人として修業中だ。「裏山にいくらでも生えている竹から、こんなきれいなものが出来上がるなんて不思議。想
像もできないですよね」高校ニ年の時、竹細工工芸品を本で見て職人という生き方を初めて意識。高校三年の進路相談では、迷わず「竹細工をやりたい」と伝えた。
静岡市の地場産業後継者育成支援制度「クラフトマンサポート事業」を利用して、2001年から「篠宮竹細工所」の篠宮康博さん(64)の下に。制度終了後も職人修業を続けている。
竹をなたで割ったり、組み立てたりと千筋細工工は一から作り出す。丸ひごと呼ばれる竹棒に熱を加え、曲線を作る繊細な作業だ。
「単純作業の連続。曲げる角度や力の入れ具合などは勘でやるが、親方と同じにやっているつもりでも仕上がりが違う。やればやるほど難しさを実感しますね」
千筋細エ職人は現在ニ十数人。職人の高齢化が進み、多くが後継者不足に悩む中、大きな期待を担っている。
「自分が女性とか何も考えていない。やりたいというあこがれだけで入ってしまったから」。親方の篠宮さんは「女性といっても特別なことはない。この仕事がしたいという気持ちがあればいい。好きこそものの上手なれ、です」と話す。
作業に不可欠な道具職人の減少など伝統工芸を取り巻く環境は厳しい。「私たちの世代が次の世代へ伝えていけるかな」という不安も。だが好きで選んだ道。竹と向き合う喜びの方が大きい。
「完全にこれでよしというものには、一生たどり着けないかもしれない。少しでも納得いくものを作り続けていきたい」
静岡新聞 2006年4月23日 朝刊 より引用しました。
恵美さんは、とても明るい方なので、これからの駿河竹千筋細工がとても楽しみですね。
ご本人の作品は、あまりありませんが、親方をお手伝いして、一緒に作っています。
伝統工芸士、伝統工芸技術秀士 篠宮 康博さん
篠宮さんは、最初は千筋細工ではなく、編む竹細工からはじめたそうです。そのため、各種の竹編み技術が得意で、繊細な丸ひごを組み合わせた作品が得意です。
特に大型花器や特殊な竹製品作りは業界随一で、お茶の組合とのプロジェクトでは、移動式茶室を完成させ、また、「駿河竹千筋細工」新作展、伝統産業工芸展や伝統的工芸品関係の展示会で何度も入賞し、それらの功績で県優秀技能者として表彰を受けています。
後継者の育成にも積極的で、大村恵美さんをはじめ、若い方を工房にて指導しています。→伝統の「駿河竹千筋細工」 18歳女性が修行
2004年、静岡市より伝統工芸技術秀士に指定されました。現在、静岡竹工芸協同組合副理事長として活躍中。とても熱心な方です。
静岡市広報「静岡気分」 2004年6月1日号を参考、一部引用しました。
小物入れ 小町
花器 きさらぎ 塗り フロアスタンド 炎(ほむら) 2003年 新作展 関東経済産業局長賞 篠宮康博 2004年新作展 静岡竹工芸協同組合理事長賞
掲載されました(^^) ひとことどうぞ○さわやか伝統工芸 せんすじ